『種の起源』は自然淘汰や生存競争など、有名な発見を数多くしたダーウィンによる研究本である。
「種の起源」概要
- 読書時間:6時間(215p)
- 内容:自然淘汰という学説を提唱。多くの研究から生物の起源に迫った。
- 本のポイント:生存競争、自然淘汰は生物の進化の原理原則を表している!
- 本の種類:自然科学・古典
- 初版:1859年
この本は本当にすごい、今年読んで良かった本NO.1と言ってもいいくらいだ。
何がすごいかというと、「新しい理論」を多くの「仮説検証」に基づいて論理的に説明している点だ。
いや、これだけだとピンとこないだろう。
「種の起源」とはつまり、生物は神によって創造されたのではなく、進化によって生まれていることを証明した本なのだ。
いま人類のベースとなる生物に関する考え方の基礎となる学説である。
だから読んでいて、「え、当たり前じゃん」ということが多々ある。
それにも関わらず、「あ!これってそういうことか!!」と読者に気づかせるポイントがとても多いのだ。
そして、度重なる仮説検証。
この方法は、何においても確実に役立つ考え方となるので、読んだほうがいい。
本書の言葉を引用しよう。
この世のすべての生物の現在の繁栄と、将来における成功と変化を左右する鍵を握っているのが、ほかならない生物相互の関係であると信じるからだ。
引用元:「種の起源(上)」ダーウィン 光文社 渡辺政隆訳
読むことをおすすめする人
・大学生(特に文系)
・若手社会人(特に文系)
・本が好きな人
・哲学が好きな人
・世の中の真理を知りたい人
・生物に興味がある人
・というかむしろ全員
原理原則を多く見つけたダーウィンの学説要約
この記事においては、
まだ本書を読んでいないみなさんにも、
「種の起源」がどんな内容なのかを紹介したい。
まず種の起源で述べられているポイントを羅列する。
ポイントは以下だ。
- 選抜と進化(変異)-進化は人為的に起こせる?
- 生存競争と選抜-自然によって起こされる生存競争のシステム
- 生存競争と絶滅-絶滅とは変異できなかった結果?
- 本能と進化(変異)-本能は変えられる?
4つを自分なりに解釈してピックアップしたが、まさにこの法則が他の分野にも応用できる原理原則だと考える。
例えば、企業・組織の生存競争など。
一つ一つ説明していく。
1.選抜と進化(進化は人為的に起こせる?)
まず前提として、進化という言葉は使わない。代わりに変異という言葉を覚えてほしい。
ダーウィンは研究のため、まず飼育栽培下の生物を対象にした。
最初に気づく点は、野生状態にある同一種や同一変種の個体間に見られる変異よりも、飼育栽培されている変種や亜変種の個体同士の方が一般に変異がはるかに大きいということだろう。
どうやら、生物がそれなりの量の変異を起こすには、何世代かにわたって新しい生活条件にさらされる必要がありそうだ。
引用元:「種の起源(上)」ダーウィン 光文社 渡辺政隆訳
飼育栽培化とはつまり、家畜をイメージしてもらえばいい。ここでは植物も入る。
ダーウィンは野生の生物よりも飼育生物の方が、変異が大きいという事実を観察したのだ。
変異が大きい理由は様々あるが、
ひとつの理由として人間による選抜を挙げている。
人間が動物の変異を見極めて、種を選抜することで、変異が大きくなるということだ。
例えば、A5ランクの牛や病気に強い稲は人間の選抜による変異だ。
つまり、人間の手でも生物の変異を起こせるのだ。
☆ポイント①
ここでの原理とは、
小さな差異を継続的に観察して選抜することで大きな差異になるということである。
つまり、小さな変化を観察して、選択していくことが、成果の最大化につながる。
会社で言えば、商品の改良やサービスの改善をお客さんの声や時代の変化を見極めて変えていくことにつながってくるだろう。
2.生存競争と選抜
有名な生存競争については、みなさんもご存知だろう。いわゆる弱肉強食だ。
前提として、選抜とは「自然状態における選抜」と解釈してほしい。
本書の言葉を引用しよう。
種とはきわめて顕著な特徴をもつ永続的な変種に過ぎない
これは、生物とは常に変異し続けているということを主張している。
完成された生物はいなく、それらは常に生き残るために変異し続けているのだ。
そして、変異が生じる理由が、
”生存競争”によるものだという。
つまり、生存競争と選抜で言いたいことは、
生物は常に変異し続けており、それが生きる上で有効なものであれば保存されていくということだ。
これを、自然淘汰の原理という。
☆ポイント②
ここでの原理は、
生き残るためには変異をし続けなければならないということだ。
私が思うに、これは会社や組織にも当てはまる。
環境や競合に合わせて生き残るために、常に変化し続け、有用なものを見つける必要があるのだ。
新しい商品を開発しては試す、有用なものを残していくといった試行錯誤が常に必要なのだ。
有効でなければ保存されない、どんな企業や組織でも有用な変化を起こすためのチャレンジが必要だ。
3.生存競争と絶滅
生存競争が生じるのは、あらゆる生物の増加率がきわめて高いことによる必然的な結果である。
種が絶滅することは、今の社会では止めるべきこのなのかもしれない。
しかし、そもそも生物は自然状態で急激に増加するほど繁殖しているらしい。
ではなぜ、増えないのか?
それは、生物はある段階でかならず大量死をするからだという。
原因は、他の生物も増加するため、生きる場所を確保するには生存競争をする必要があるからだ。
ただし、ただ弱い生物だからといって絶滅はしない。
実は生物の存続を決めている要因は、生物同士の相互関係が大きな影響を及ぼしているのだという。
そして、ここで重要な結論が明らかになる。
あらゆる生物の構造は、食物やすみかをめぐって競争する相手や、逃れなければならない相手、獲物にする相手など、他のあらゆる生物の構造と、たいていは見た目ではよくわからないが、きわめて本質な面で関係しあっているということだ。
つまり、生存競争とは、その地域にいる他生物によって、さらにその生物に対応する変異をできたものが生き残るということだ。
それができなければ絶滅していく。
☆ポイント③
ここでの原理は、
存続するためには、相手や環境に合わせて有利な変異をすることが必要だということだ。
これは会社にも当てはまる。
ただ、自社が変化をしても、それが市場に有用なものでなければ淘汰される。
相手の構造など、時には相手に有利に見えるものでも、自社が生き残るためには周りに合わせた変異が必要なのだ。
本能と進化(変異)
私は本能を定義するつもりはない。これはいくらでも例をあげられることだが、本能という言葉はいくつもの異なる心理的作用を指して使われている。
ここで明らかにされることは、
本能とは変異するものである
ということだ。
つまり、本能は生存競争に大きく関わってくる。
例えばアブラムシはアリがくると蜜を出す。
それは経験ではなく本能であり、それによって生存が有利になる。
本能だと考えているものは、すべて自然淘汰によって得られたものなのだ。
そしてそれは相互関係によって変化していく。
☆ポイント④
ここでの原理とは、
本能とは生存に有利な変異の集積であり、相互関係で変わっていく
ということだ。
つまり、これは人間にも当てはまる。
直感というものがそれだ。
直感とはおそらく本能であり、
「直感を信じるべき」という言葉はその意味で正しいのだ。
そして直感を磨くには、生存競争を繰り返すしかない。
挑戦を続けることで、あなたの直感力が磨かれ、生存に有利になっていくのだ。
終わりに
めちゃめちゃ長くなったが、
本書の一部も紹介できていない。
この本が何十年もの前、さらに遺伝子さえ明らかになっていない時代に書かれたと考えるとすごい。
真実を見つけるためのダーウィンの観察力と洞察は、どの時代も色あせることはないだろう。
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