1億総クリエイター時代と言われるほど、今は誰もが発信者ですね。
そのため、「個人」でもイノベーションを起こしやすい時代になったと思います。
ではイノベーティブであるとはどういうことでしょうか?
『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』という本を参考に、組織論やリーダーシップ論を含め、小さな組織にも応用できる考え方を探ってみようと思います!
イノベーティブになりたい人や組織に参考になれば嬉しいです!
- 「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」はどんな本か?
- イノベーティブとは何か?
- イノベーションを継続的に起こす組織の共通点は?
- 1.イノベーティブな組織風土
- 2.イノベーティブな組織構造
- 3.イノベーティブなリーダーシップ
- まとめ-小さな組織が増える-
「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」はどんな本か?
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作者は山口周さん、慶應義塾大学院を卒業後、電通やボストンコンサルティングなどを経て現在は組織開発を行うヘイグループに所属しています。他の著書は、「天職は寝て待て」など。
ヘイグループは、アメリカに本社をおくコンサルティング会社で日本だと東京丸の内にオフィスを置いています。
本書は、さまざまなイノベーションに関する本を考察し、筆者なりのイノベーション理論を述べている本。
クリステンセンの「イノベーションへの解」やエベレットロジャーズ「イノベーションの普及」、「学習動機付けの心理学」など代表的な本を参考にしています。
とにかく事例が豊富でわかりやすく、とても納得性があるので、おもしろく読むことができました。
イノベーティブとは何か?
イノベーションを起こせる資質を持っていることや感じさせるもののこと
本書では、日本人はすでにイノベーティブであるという前提からスタートし、イノベーティブでないことは個人ではなく組織の問題だと提起されます。
そして、
- 個人の創造性を妨げる組織の要因は何か?
- どうすれば組織は個人の創造性を活かせるのか?
を明らかにしていきます。
では、そもそもイノベーティブとは何でしょうか?
本書では、このように定義されます。
これまでに誰も考えたことがない新しい要素の組み合わせ
引用元:世界で最もイノベーティブな組織の作り方(光文社新書)
イノベーションを継続的に起こす組織の共通点は?
次の3つが主に挙げられています。
- 組織風土
- 組織構造
- リーダーシップ
1.イノベーティブな組織風土
イノベーションに不可欠なものとして、多様性を受け入れる組織が挙げられています。
この多様性とは、海外の人がいるとか性別の違いではなく、思考や意見、感性の多様性であるといいます。
日本の文化的に、というか日本人の性質として、異なる意見は排除する、出る杭を打つという傾向が強いことはみなさんも感じていると思います。
特に組織であれば強く、私も前職の部署ではそういった意識が強く、新人が意見するなどもってのほかでした。
日本の学校や部活といった組織がそうであるということもあるかもしれません。
とにかく、日本の組織では多様性が許容されにくいということです。
いままでの高度経済成長期では、多様性がなくても必死に働けば結果はついてきやすかった時代でした。
しかし今の日本をみると、これからは別の働き方が必要だということは火を見るよりも明らかでしょう。
例えば、ゾゾタウンのスタートトゥデイ、AbemaTV のサイバーエージェントなど、先進的な会社は新しい働き方を体現しているかもしれません。
ここでは触れませんが、同時に上下間の風通しのよさも挙げられています。
2.イノベーティブな組織構造
イノベーティブな組織構造としては、
広く濃いネットワーク、柔軟なプロセス、遊びの存在が挙げられています。
そもそもイノベーションとは
・消費者もわからないし、ほとんどの人が価値を見抜けない
・合理的な解はなく、予測できない
・短期的に結果が出づらい
と言われています。
そのため、
多様な意見を取り入れられる広いネットワークが必要です。
さらに、論理的ではなく創造的な遊びの時間を設けることの必要性が言及されています。(ただ、がむしゃらに働くのではなく)
本書では
合理的というのは、論理的に正しいということですが、論理的に正しいことを追い求めれば解は必ず他者と同じになり、しかもスピードは遅くなります。
と書かれています。
そして、成否が短期的に予測しづらいイノベーションの芽をつまないように、意思決定を柔軟にする必要があります。
確かに、私たちは論理的であることの重要性をビジネスでは求められがちです。
よく、エビデンス(根拠)はあるのか?と聞かれますが、そもそも新しい文脈で始めることに前例も根拠もありません。あるのは仮説くらいでしょう。
しかし、それでは決済がおりません。
それは、組織においては上部のエリートと言われる人間が決済をだす傾向があるからです。いわゆる官僚制です。
エリートたちは、そもそも論理的な能力が高いことに評価を受けて上部にいきます。
イノベーションは合理的でないと先程書きましたが、それではこのエリートたちが機能しなくなるのです。
これではイノベーションは起きませんね。
では、どうすればいいのでしょうか?
それは、リーダーは決め方を決めるということです。
3.イノベーティブなリーダーシップ
リーダーシップとは何か?
これは長年議論されてきました。
本書では、
最適なリーダーシップは文脈に応じて時々で異なる
と定義しています。
そもそもリーダーシップとは単独で語ることはできなく、集団の性質によって変わってくるのです。
そして、イノベーションを起こす組織においては、ビジョン型のリーダーシップがうまくいきやすいと言われています。
そしてビジョンに必要なことは「共感」できることです。
おそらく、この共感というワードはみなさんとてもしっくりくるのではないでしょうか?
組織構造でもありましたが、共感とは合理的なものではありません。感情的なものです。
そして、ビジョンを示せたら、リーダーは決め方を決めます。
引用すると、
その組織がどういうメンバーで構成され、どういう前提でもって議論を行い、どのようなプロセスで議論を行うか?
ということです。
まとめ-小さな組織が増える-
長くなってしまいましたが、本書には豊富な事例をもとに、さらに多くの考察書いてありますので、気になった方は読んでみてください。
私は、これからの時代小さな組織が多くなるのではないかと考えます。
さらに人材の流動性も高まり、人は多くの組織に身を置くことになるでしょう。
そうした場合、自分発信で組織を率いることが多くなるのではないでしょうか?
このイノベーティブな組識は、会社に限ったことではないと考えています。
むしろこれからは、そういった私たちの小さい集団でこそ、生かされるのではないかと感じています。
いま組織運営に関わる人は、参考にしてみてください。
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